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Van Zant / VAN ZANT
火薬バカ一代 ★★★ (2025-08-08 00:01:03)
ロニー・ヴァン・ザント(LYNYRD SKYNYRD)とダニー・ヴァン・ザント(38 SPECIAL)を兄に持ち、ロニーが飛行機事故で不慮の死を遂げた後は再結成LYNYRD SKYNYRDに参加してバンドを支えるジョニー・ヴァン・ザント(Vo)、本作は彼が率いたVAN ZANTが'84年に発表した1stアルバムとなります。邦題は『VZライジング』。
そんなサザン・ロック界のサラブレット(?)が披露しているのは、これがサザン・ロックの「サ」の字も見当たらない洗練されたハードポップ・サウンド。彼のキャリアを見渡してみても例外的な作風が託されており、サザン・ロック一筋にを歩んできた御仁さえもJOURNEY路線へと誘惑してしまう80年代前半のバブリーな雰囲気(魔力)には戦慄を禁じえませんが、本作をVAN ZANTの最高傑作と信じて疑わない身としては「よくぞ誘惑されてくれました!」ってなもんで。
キャッチーに跳ねる曲調に胸も躍る思いっくそ売れ線なOPナンバー①、日本盤では“涙色のエンジェル”なる邦題が冠されていたバラード②、熱い音色で存在感を放つツインGがサザン・ロックの出自を仄かに意識させてくれる、タイトルに相応しくハード寄りな仕上がりの③…と、序盤から出し惜しみなく哀愁のメロディと強力なフックに彩られた逸曲が連続。中でも名曲⑥(知る人ぞ知るRPMのカヴァー)は、適度なハードネスとポップ・センスが結実した本編のハイライト・ナンバーじゃないでしょうか。
軽快かつクールに本編を締め括る⑩に至るまで、捨て曲皆無のUSハードポップの名盤。VAN ZANTが活動を再開した今、日本盤リイシューの実現を願ってやみませんよ。
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